期間限定受注生産『聖飢魔II・ドール』製作秘話その2
『聖飢魔II・ドール』の受注締め切り前まであと1ヵ月とちょっと。今回は『デーモン閣下・ドール』を中心にその魅力をお伝えします。
───『デーモン閣下・ドール』で一番大変だったのは?
松KEN:う~ん、どれも大変でしたけど、甲冑の紐の編み上げですね。小さいパーツを1つずつ紐で繋ぐのが苦労しました。
カワカミノボル:オリジナルは本物の戦闘服と同じように甲冑のパーツを別々に作って、紐で繋いでいくんだけど、何しろ小さいからね。普通ならワックスとかポリパテ、スカルピーを使って一体で作っちゃうんだろうけど。製品版はそのオリジナルから型を取っているので、革や紐のテクスチャーまでちゃんと出ているから、苦労した甲斐はあったよね。陣羽織の裏生地も大変だったよね?
YOU-KO:本物は織り生地を使っているんだけど、もちろんドールのサイズでは織れないので、プリントで再現したのね。そのまま縮小してもダメだから写真にとったあと、ドール用にリデザインしていますね。
カワカミ:本物よりも長いからねぇ。細かい模様はそのままじゃなんだかわからなくなっちゃうし。
YOU-KO:パンツの刺繍もちゃんと再現しています。そのままでは小さすぎるから、簡略化しているけど。
カワカミ:そこは本物の戦闘服のデザインを優先してプリントにするんじゃなくて、本物の戦闘服と同じように刺繍するためにデザインは簡略化したんだよね。
YOU-KO:このちっちゃい聖飢魔IIの紋章はそのままだよね?
↑左は本物用の紋章。右はドール。かなり小さいがちゃんと紋章が判別可能だ。
カワカミ:これはそのまま本物を縮小して再現しているんだ。製品版は樹脂製になるんだけど、オリジナルは金属製で極小の紋章を切り抜いたのは松KENだけど(笑)。
───『デーモン閣下・ドール』は実際と同じように3パターンが再現できるんですよね?
YOU-KO:ちゃんと脱いだり着せたりできるので、本物と同じようにできるんですよ。
松KEN:一番最初にオリジナルサンプルを作ったときは、本物と同じように、革のパーツは工房、布地部分はアトリエで作って、それを合わせたんですけど、着せてきちんとあわなくて苦労しましたねぇ。
カワカミ:最初はとにかく本物のパターンをそのまま縮小して作ったんだよ。だから布地の厚さとかは計算に入っていなくてね。布地を1/6にするのは無理だから、別々に作っていてそういうことになった。でも、それは分かっていて、そこからじゃあどれだけ変更すればいいのか、コンマミリ単位で伸ばしたり縮めたり調整していったんだよね。だからオリジナルサンプルは2回は作っているかな。
↑アトリエで布地部分を制作、工房で革パーツを制作。で、組み合わせるのだ。
───その辺が普通のフィギュアの原型作りと違いますね。本物のパターンがあるので、まずそこから入るというのは普通はないです。リアルなフィギュアを作る場合もパターンが手元にあるわけではないので、見た目の印象で原型を作るのが普通なんですよね。
松KEN:その辺は僕は忠実に1/6で作りたいという思いがあったんですよ。
カワカミ:松KENはこだわったよね~。
YOU-KO:ドールの体型って、そもそも御本悪魔の体型とは全然違いますからねぇ。手とか足の部分は1/6より大きくしないとバランス悪いし。でも本物に忠実に作ったことで、ドールの大好きな人から驚かれたのがブーツなんですよね。私たちはブーツなんだから当然ファスナーをつけたんだけど、ドールのブーツにファスナーが付いているのは珍しいんだって。
↑写真では分かりにくいがミニファスナーがブーツにはついていて、無理なく脱がせる。
カワカミ:リアル感とデフォルメ感のバランスがとてもいいんじゃないかな。1/6にこだわるとか、本物と同じ素材にこだわり過ぎて遠いものになるよりも、印象が大事だろうし。松KENが本物を作ることにこだわったからそういう部分は再現されたんだと思うんだ。普通のドールメーカーの商品とは違う、JAP工房製ならではの『聖飢魔II・ドール』になったんじゃないかな。
YOU-KO:でも今回、ドールを作って私たちも初めて気づいたところもあったのよね。
松KEN:そうなんですよ。閣下は耳まで白いとか、目尻の青がグラデーションになっているとか、鼻筋とか。ドールのお顔を監修していただいて、初めて分かったこととかありますね。
カワカミ:首から下は我々JAP工房がすべて責任を持って作って監修もしているけど、お顔はそれぞれ御本悪魔が直接監修しているんだよね。
YOU-KO:目の色もいろいろ選べるんですが、それぞれ御本悪魔がイメージする色になっているんですよ。
カワカミ:お顔が1/6のままだったら、省略が必要で、細部は分からないままでしたでしょうね。
YOU-KO:やっぱりこの頭の大きなテヤンを使ったのは聖飢魔IIの個性が際立ってよかったよね。
↑以前より閣下は兜をかぶりたいというご希望があったものの、頭髪の関係で実現しなかった。
今回の新戦闘服ではそんな閣下のご希望に応えるべく、肩に兜をデザインした。
兜やベルトのバックルにある金色のコウモリの羽根は革製だが、なんと金箔を貼っている。
きらびやかでありつつ落ち着いた輝きを放つのは本物の金ならではのものなのだ。
あ、ドールは金箔じゃないのであしからず。